ケフィアとは?気になるケフィアの語源や歴史、研究発表について

ケフィアとは、乳酸菌と酵母の共生発酵によって生まれるアルコール発酵乳の一種です。カリフラワーに似た形の「ケフィアグレイン」を、牛乳のなかに加えて自然発酵させると、飲むヨーグルトに近いどろどろした乳飲料ができあがります。これが、ケフィアです。飲んでみると、炭酸のようなピリッとした刺激とさわやかな酸味が口にひろがります。ここでは、そんなケフィアの基礎知識について学びます。

ケフィアの語源

ケフィアの語源としてはいくつかの説がありますが、現在ではトルコ語の「ケイフ(Keyif)」やアラビア語の「カイフ(keyf)」が語源になっているという説が有力です。その意味は、「健康」「嗜好」「ほろ酔い」で、ケフィアのイメージにピッタリきます。また、派生語としてトルコ語に「ケイフリ(Keyifli)」があり、「陽気な」「幸福な」という意味を持つそうです。こちらからも、ケフィアの健康的なイメージが伝わってきます。

一方、ケフィア発祥の地、コーカサス地方では、地域によってさまざまな呼び名が使われています。「カフィール」「カフェール」「カファー」「ケフェール」「カーポン」「キッペ」「ケピー」など、村や部族が変わると呼び名も違ってきます。 ただ、その意味はいずれも「さわやかな味」であり、ケフィアの風味がそのまま言葉の意味として定着したと考えられます。

なお、「ケフィア(Kefir)」は英語での発音です。ロシア語、ドイツ語、スペイン語、ハンガリー語、ブルガリア語、ポーランド語、ルーマニア語など、そのほか多くの国では「ケフィール」と発音します。このWebサイトでは、混乱を避けるため英語読みの「ケフィア」で統一しています。

ケフィアの歴史

ケフィアの発祥地は、元気なお年寄りが多いことで知られるコーカサス地方とされていますが、いつごろから作られ始めたのかは、明確には分かっていません。ただ、ケフィアは作ろうとして生まれたのではなく、いつの間にか自然のうちに誕生した発酵乳であることは間違いないようです。

ケフィア誕生のカギを握るのは、コーカサス地方特有の食生活にあります。 コーカサスの山岳民族は、水分補給のために古くからヤギや牛、羊の乳をヤギの皮袋に入れて自然発酵させて飲んでいたそうです。そして、中身が減ってくるとそこにまた新しい乳を足し、発酵させて飲み続けます。皮袋は家の出入り口に吊るされていて、出入りする時に、中身を棒でかき混ぜたり、揺らして撹拌していました。これを繰り返しているうちに、いつの間にかケフィアグレインが生み出されたというのです。
このほか、山でしぼった牛やヤギの乳を皮袋に入れ、馬の背で揺られて帰る間にその乳が日光で温められながら撹拌され、夕方になり気温が下がると冷やされて偶然にケフィアグレインが生まれたという説もあります。

また、一説には、紀元1世紀頃、予言者マホメットがイスラム教を布教する際に、ケフィアグレインを“霊品”としてコーカサス地方の人々に配りながら、ケフィアの製法を教えて回ったと伝えられています。そのため、イスラム教徒の間では、ケフィアグレインを「予言者の黍(きび)」と呼ぶ人も少なくありません。

このように、かなり古い時代からコーカサス地方の人々に伝統的に受け継がれてきたケフィアは、やがて、旧ソ連の各国や東欧、ドイツ、北欧などに広がっていきます。これらの国々では早くからケフィアのパワーに注目し、すでに数百年前から積極的に取り入れられていたそうです。

ケフィアの存在が、広く世界各国で知られるようになったのは、1970年~80年代にかけてのことです。 そのきっかけとなったのが、1978年にパリで開かれた「第20回 国際酪農会議」。この会議で、旧ソ連の総連邦酪農科学研究所のリパトフ教授が、「ヨーグルト以外の発酵乳」という特別講演を行い、ケフィアの有用性について研究結果が発表されました。

さらに、その4年後の「第21回 国際酪農会議」には、旧ソ連医学アカデミー栄養研究所のサムソノフ教授らが、ケフィアを使った臨床試験に大きな成果があったことを報告。この会議では、出席者が実際にケフィアを試飲することができたといいます。そしてこれを機に、一躍ケフィアは、全世界中の酪農学者や専門家たちから大きな注目を浴びる存在になっていったのです。

故郷コーカサス

コーカサス地方は、パキスタンのフンザ地方、南米エクアドルのビルカバンバ(聖なる谷)とともに、世界の中でも元気なお年寄りが多いことで知られています。ヨーグルトの故郷として聞き覚えがある方も多いでしょう。

場所は、カスピ海と黒海の間に位置し、旧ソビエト連邦で、現在はグルジア共和国、アルメニア共和国、アゼルバイジャン共和国の3つの国に分かれた地域になります。この地域は、気候が温暖で過ごしやすく、野菜や果物、お茶など食料も豊富。これに加えて、牛乳やヤギ乳などを発酵させたケフィアなどの発酵乳を子どものころから毎日飲んでいることも見逃せません。

このように、健康のための自然環境が整っているコーカサス地方では、90歳を過ぎても健康で元気に働いている人が少なくないそうです。これこそ、ケフィアが“元気の源”といわれる所以でもあります。

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